クーラントフィルターとは?役割や目的にあった選び方を解説

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「クーラントフィルターって何?」
「どんな種類のクーラントフィルターがあるの?」

本記事に辿り着かれた方の中には、上記のように思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

クーラント液は、金属を加工する際に使用される液体で、主な目的は切削時の摩擦を減らすなど、工作物の熱を冷却することです。クーラント液が汚れたままで放置してしまうと、効率を下げるだけでなく、バクテリアが発生し悪臭などの原因にもなります。

上記のような際に必要となってくるクーラントフィルターですが、様々な種類や用途があります。ろ過装置などの導入を検討している方は知っていて損のない基礎知識です。

本記事では、クーラントフィルターについて、役割や重要性を解説。さらに種類に応じて、適切な使用用途を紹介していきます。クーラントろ過装置を検討している方は参考にしてください。

また、以下の記事では、クーラントろ過装置導入時に困ってしまう選び方の基準やおすすめの製造会社を紹介しています。導入を検討している方は合わせてご覧ください。

目次

クーラントフィルターとは

冒頭でも解説した通りクーラントフィルターとは、クーラント液中のスラッジや不純物を除去するために使用される装置です。加工機械や冷却システムに組み込まれ、クーラント液を循環させながら、スラッジや不純物を取り除きます。

さまざまな種類のクーラントフィルターがあるため、対応していない素材は、クーラントフィルターでも取れない汚れもあります。

クーラント液中にスラッジが長時間存在すると、加工品質の低下や加工機械の故障を引き起こす可能性があります。また、クーラント液中の不純物が増えると、冷却効果が低下し、加工時の温度上昇が制御できなくなる場合もあります。

そのため、クーラントフィルターは、クーラント液をろ過する上で重要な装置と言えます。

クーラントフィルターの重要性

クーラントフィルターは、金属加工業界において欠かせない重要な装置です。その主な役割は、クーラント液中のスラッジや不純物を効果的に除去することにあります。この工程は、単なる液体の清浄化にとどまらず、製造プロセス全体の効率と品質に大きな影響を与えます。

クーラント液は、金属加工時の摩擦低減や熱の除去など、重要な機能を果たしています。しかし、使用を続けるうちに、切削屑や研削粉などの不純物が蓄積していきます。これらの不純物は、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

  • 加工精度の低下
  • 工具の早期摩耗
  • 機械の故障リスクの増加
  • クーラント液自体の劣化促進

クーラントフィルターを適切に使用することで、これらの問題を効果的に予防し、生産性の向上と品質の維持を実現できます。特に高精度な加工が要求される現代の製造業において、クーラントフィルターの重要性は一層高まっています。

さらに、環境面での配慮も忘れてはいけません。クーラント液を頻繁に交換することは、廃液処理の問題や資源の無駄遣いにつながります。クーラントフィルターを使用することで、液の寿命を延ばし、廃棄物の削減にも貢献できるのです。

このように、クーラントフィルターは生産効率、製品品質、コスト削減、そして環境保護の観点から、現代の製造業にとって極めて重要な装置と言えるでしょう。適切なフィルターの選択と管理は、企業の競争力向上に直結する重要な要素なのです。

クーラントフィルターでろ過する5つのメリット

ここからは、クーラントフィルターでクーラント液をろ過するメリットについて紹介します。今回紹介するのは以下の5つです。

それぞれチェックしていきましょう。

加工精度の向上

1つ目のメリットは加工精度の向上です。クーラント液中のスラッジは、加工過程で工具や加工物と接触することで摩擦や傷を引き起こす可能性があります。

そのため、スラッジが除去できていないクーラント液を使用し続けることで、加工精度が低下し、寸法の不正確さや表面に粗さが生じてしまいます。

クーラント液をろ過することでスラッジを取り除けるため、工具と加工物の接触時の摩擦や傷が減少し、より高い加工精度を実現できます。

不良品発生の防止

2つ目のメリットは不良品発生の防止です。クーラント液中に含まれるスラッジは、加工物に付着することで不良品や欠陥の原因となります。

たとえば、スラッジが切削過程で加工物に付着すると、正確な形状や寸法を実現できず、不良品が生じてしまう可能性が高くなります。

そのため、クーラントフィルターでクーラント液をろ過することで、加工品質の向上と不良品の発生を防止につながります。

切削・研削工具寿命の延長

3つ目のメリットは切削・研削工具寿命の延長です。

クーラント液中のスラッジや切削屑が切削や研削工具に付着すると、工具の摩耗やダメージが進みます。継続的なダメージにより、工具の寿命が短くなり、交換頻度が増加しコストも増加します。

そのため、クーラント液をろ過することで、スラッジを取り除けるので、工具の寿命を延ばすことに繋がります。結果的に、工具の交換頻度を減らし、コスト削減や生産性の向上にも繫がります。

クーラント液の寿命を伸ばせる

4つ目のメリットはクーラント液の寿命を伸ばせるという点です。

クーラント液は時間とともに劣化し、冷却効果が低下します。クーラント液中のスラッジや不純物の濃度が増加すると、クーラントの性能や冷却効果が低下する可能性があります。

クーラント液自体をろ過することによって、液中のスラッジや不純物を取り除くことでクーラント液の寿命を延ばせます。寿命が伸びることでクーラント液の交換頻度を減らし、使用量やコストの削減にもつながります。

ダウンタイムの軽減

5つ目のメリットはダウンタイムの軽減です。

クーラント液中のスラッジや不純物が加工機械や冷却システムの配管やポンプに詰まると、メンテナンスや清掃が必要になり、生産ラインの停止時間が増えてしまいます。

生産ラインの停止は、会社の損失に直結してしまうため、ダウンタイムはなるべく避けなければいけません。

クーラント液をろ過することで、スラッジを除去し、詰まりや故障のリスクを低減することで、ダウンタイムの軽減が実現できます。

そのため、クーラントフィルターによるクーラント液のろ過は、工場などの生産効率を向上させ、生産ラインの稼働時間を最大化できます。

クーラント液をろ過しないリスクとは?

クーラント液をろ過しないことは、製造プロセス全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。上記で解説したメリットとは逆の事態が発生し、生産性や品質に大きなダメージを与えるリスクがあります。これらのリスクと影響について、詳しく説明します。

  • 加工精度の低下
  • 不良品の発生
  • 切削・研削工具寿命の低下
  • クーラント液の寿命の低下
  • ダウンタイムの増加

まず、加工精度の低下が挙げられます。クーラント液中の不純物増加により、表面粗さの増加や寸法精度の悪化が起こり、特に精密加工では製品仕様を満たせなくなる可能性があります。これに伴い、不良品の発生率も上昇し、生産コストの増加と顧客満足度の低下につながります。

また、汚れたクーラント液は工具の早期摩耗を引き起こし、交換頻度の増加によりコストが上昇します。クーラント液自体の劣化も早まり、冷却効果や潤滑性能が低下するため、液体の交換頻度が増加し、材料費の上昇と廃液処理の問題が生じます。

さらに、システムの目詰まりや機械の故障リスクが高まり、予期せぬダウンタイムが増加します。これは生産スケジュールに大きな影響を与え、納期遅延や生産計画の混乱を招きます。加えて、汚れたクーラント液は悪臭の原因となり、作業環境を悪化させ、従業員の健康や作業効率にも悪影響を与えます。

これらの問題が複合的に作用することで、企業の評判や競争力にも影響を及ぼす可能性があります。したがって、適切なクーラントフィルターの選択と定期的なメンテナンスは、これらのリスクを最小限に抑え、持続可能な生産体制を構築するための不可欠な要素と言えるでしょう。

代表的なクーラントフィルター4選

ここからは、代表的なクーラントフィルターを4つ紹介します。クーラント液の種類などでフィルターが異なるので、使用用途に合わせて選びましょう。

それぞれ特徴や対応しているスラッジを紹介していきます。

マグネットセパレーター

マグネットセパレーターはその名の通りマグネットを用いたクーラントろ過装置になります。

性能としては10μ以上のスラッジのみに対応しており、また、磁力でろ過するため、金属加工でしか使用できません。簡単な操作とメンテナンスの簡単さが特徴です。

こちらの記事ではマグネットセパレーターについて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

遠心分離式(サイクロンフィルター)

遠心分離式クーラントろ過装置はスラッジを含んだクーラント液を高速回転させ、遠心力で、クーラント液内に混じった粉末状のスラッジを分離する装置です。

性能としては、10μ以上のスラッジの除去と金属加工や非金属加工のクーラントろ過に適しています。

こちらの記事では遠心分離式(サイクロンフィルター)について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

ペーパーフィルター

ペーパーフィルターは紙繊維からつくられており、微細なスラッジや不純物を捕捉する能力があるクーラントろ過装置になります。

性能としては10μ~95μまでのろ過が可能で、磁力のあるものから磁力のない金属までろ過できます。

ペーパーフィルターは導入コストが低いですが、詰まりやすく、ろ過精度も低いためフィルター自体の寿命も短く、使用後のペーパーフィルターは産業廃棄物として処理しなければいけないなど、ランニングコストがかかる傾向にあります。

カートリッジフィルター

カートリッジフィルターはクーラント液に混入するスラッジを、フィルターエレメント(立体濾紙)で補修・除去する循環型のろ過装置です。

上記で紹介してきた、ろ過装置と比べると10μ以下のスラッジを除去できるという最大のメリットがあります。

また、対応しているスラッジも豊富で、さまざまな素材のスラッジに対応しています。

クーラントフィルターの選び方

クーラントフィルターの選択は、製造プロセスの効率と製品品質に直接影響を与える重要な決定です。適切なフィルターを選ぶことで、生産性の向上とコスト削減を同時に実現できます。クーラントフィルターを選ぶ際には、加工方法、スラッジの特性、そしてコストパフォーマンスの3つの要素を主に考慮する必要があります。

これらの要素を総合的に評価することで、自社の製造プロセスに最適なフィルターを選定することができます。

加工方法に合わせた選択

加工方法によって発生するスラッジの特性が異なるため、それに適したフィルターを選ぶことが重要です。例えば、研削加工では微細な砥粒が発生するため、高精度のフィルトレーションが必要になります。

一方、切削加工では比較的大きな切粉が発生するため、それに適した粗目のフィルターが効果的です。加工方法と発生するスラッジの特性を十分に把握し、最適なフィルターを選択しましょう。

スラッジの特性を考慮

スラッジの大きさ、量、材質によって、最適なフィルターは異なります。微細なスラッジが多い場合は、カートリッジフィルターやペーパーフィルターが適しています。磁性体のスラッジが主な場合は、マグネットセパレーターが効果的です。

また、スラッジの量が多い場合は、遠心分離式のフィルターが適しているでしょう。自社の加工工程で発生するスラッジの特性を詳細に分析し、それに最適なフィルターを選択することが重要です。

コストパフォーマンスの評価

初期投資コストだけでなく、ランニングコストや維持管理の容易さも考慮に入れる必要があります。例えば、逆洗浄機能付きのフィルターは初期コストは高くても、長期的には維持管理コストを抑えられる可能性があります。

フィルターの寿命や交換頻度、消耗品の費用なども考慮に入れ、総合的なコストパフォーマンスを評価しましょう。

導入を検討しているならカートリッジフィルターがおすすめ

ここまでクーラント液をろ過する際におすすめのろ過装置を紹介してきました。

どのクーラントろ過装置が良いのかまだ迷われている方は、『カートリッジフィルター』がおすすめです。

カートリッジフィルターは10μ以下の微細なスラッジにも対応しています。また、ろ過装置によっては、目詰まりによって連続運転ができなくなってしまう難点があります。そのため、目詰まりを軽減する逆洗浄機能が備わったろ過装置が良いでしょう。

逆洗浄機能とは、クリーンな液とエアにより濾材表層部のスラッジを剥がし落とす機能のことです。逆洗浄により、フィルターの目詰まりをある程度解消し、メンテナンスコストを削減できます。

クーラントろ過装置を製造しているおすすめ会社2選

ここまでクーラント液をろ過するろ過装置を紹介してきました。カートリッジフィルターを製造している会社の中でもおすすめのメーカーは以下の2社です。

それぞれの会社情報や製品情報まで紹介します。参考にしてください。

逆洗浄付き『濾過精工株式会社』

出典元:濾過精工株式会社
スクロールできます
項目詳細
会社名濾過精工株式会社
設立2011年9月
資本金6,470万円
住所東京都中央区日本橋蛎殻町 1-10-1
電話番号03-6264-8575

濾過精工株式会社は、高性能なろ過システムを備えた逆洗浄機能付きのカートリッジフィルターを製造しています。10μ以下の微細な汚れやスラッジに対応できます。

カートリッジフィルターは、逆洗浄機能を備えており、フィルター交換の負担を軽減できます。逆洗浄機能によって、フィルター表面に蓄積した汚れや異物を逆方向に吹き飛ばし、フィルターの寿命を延ばし、交換頻度を減らせます。

また、濾過精工株式会社のカートリッジフィルターは、精密機械用のクーラントに特化しています。精密機械は高い品質と正確性が要求されるため、クーラント中の微細な汚れやスラッジを効果的に除去することが不可欠です。

高いろ過性能と逆洗浄機能により、フィルター交換の負担を軽減しながら、長期間にわたる安定したクーラント液の供給を実現します。

一度資料請求などをして製品導入を検討しましょう。

逆洗浄なし『イースタン技研株式会社』

出典元:イースタン技研株式会社
スクロールできます
項目詳細
会社名イースタン技研株式会社
設立1970年6月
資本金5,000万円
住所神奈川県大和市福田六丁目9番地の21
電話番号046-268-3131

イースタン技研株式会社は、逆洗浄機能のないカートリッジフィルターを使用するクーラントろ過装置を製造しています。装置のフィルター交換は必要ですが、マグネットセパレータでは取り除けない砥石カスや非鉄金属のスラッジなども完全に除去できるという特長があります。

通常、マグネットセパレータは磁力を利用して鉄粉や鉄屑などの磁性物質を除去しますが、非磁性の砥石カスや非鉄金属は除去できません。しかし、イースタン技研株式会社のクーラントろ過装置は、専用のカートリッジフィルターの使用で、微粒子も効果的に除去ができます。

一度資料請求などをして製品導入を検討しましょう。

まとめ

本記事では、クーラントフィルターについて紹介してきました。クーラントフィルターにはさまざまなろ過装置があります。

しかし、高精密な製品製造のためには10μ以下のスラッジを除去できるろ過装置の導入を検討しましょう。まだ迷われている方は『カートリッジフィルター』の資料請求をしてみましょう。

本記事が少しでもあなたの助力になれば幸いです。

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