「スラッジを除去するには?」
「スラッジを効率よく除去する方法はないの?」
研削加工や切削加工の現場において、日々発生するスラッジに悩まされている方も多いことでしょう。
スラッジを放置していると、さまざまな悪影響を引き起こすことになります。
そのため、クーラント内のスラッジを速やかに除去し、クーラント液を清浄な状態に保つ必要があるでしょう。
しかし、クーラント液の定期的な交換やタンク清掃には手間も費用もかかるため、負担に感じている方もいるはず。
そこで今回は、スラッジの引き起こす悪影響から除去する方法を解説します。スラッジを効率的に除去したい方は、参考にしてください。
また、以下の記事ではクーラント濾過装置導入でおすすめのメーカーを紹介していますので、気になる方はぜひ参考にしてみて下さい。
スラッジとは

スラッジとは、切削加工や研削加工を行う工作機械から発生する、微細な切粉のことです。
スラッジはクーラント中の油に付着することで、液面に浮上します。
油分と結合して液面に浮上したスラッジは沈みにくく、タンクの表面を覆ってしまうでしょう。
機械の作動中はスラッジが常に発生し続けるため、速やかに回収しないとクーラント液中にどんどん増えていくことになります。
スラッジが増えてくると、さまざまな悪影響を引き起こす場合があるため、注意が必要です。
以降では、スラッジが引き起こす具体的な悪影響について解説していきます。
スラッジが発生する仕組み・原因
スラッジは、水処理や製造工程などで不純物が沈殿・凝集することによって発生します。主に液体中の微細な固形物や化学物質が集まり、固形状になることでスラッジが形成されます。
たとえば、水処理施設では汚水中の汚れを取り除く過程で、凝集剤を用いて微粒子を集め、沈殿させた際に底にたまる汚泥がスラッジです。また、工場などの生産設備では、潤滑油や冷却水が汚染されることで、金属粉や化学物質が混ざり合いスラッジが発生します。
スラッジが引き起こす悪影響

ここからは、スラッジが引き起こす下記7つの悪影響を解説します。
心当たりのある方は、速やかに対処する必要があるでしょう。
切削・研削工具の寿命が短くなる
スラッジがクーラント液中に混入すると、切削・研削工具の寿命が短くなります。
加工時にスラッジが切削・研削工具を削ってしまい、摩耗しやすくなることで、寿命が短くなってしまうでしょう。
また、クーラント中に増えたスラッジは、やがてノズルやポンプを目詰まりさせ、機械を停止させることもあります。
上記のように、スラッジが多い状態を改善しない限り、工具や機械の費用がかさみ、ランニングコストが増加してしまうでしょう。
悪臭発生の原因になる
液面に浮上したスラッジは、やがてタンクの表面を覆い、悪臭発生の原因となります。
クーラントタンクの液面をスラッジが覆うと、液中への酸素供給が絶たれてしまい、微生物や嫌気性細菌が増殖してしまうからです。
嫌気性細菌が増殖すると、やがてクーラント液を腐敗させてしまい、悪臭の原因となります。
悪臭は作業環境を悪化させ、作業の効率を低下させてしまうでしょう。
工作物の品質が低下する
クーラント液にスラッジなどの異物が混入している状態では、工作物の品質が低下してしまいます。
とくに研削加工においては、スラッジや砥粒がスクラッチ傷を引き起こしてしまうケースが多いです。
また、スラッジが内部の給油配管を詰まらせてしまい、切削油の少ない状態で切削してしまうと、加工面の粗さが目立ってしまいます。
上記のように、スラッジは工作物の品質低下を招くため、速やかに除去しましょう。
工作機器に不具合が起きる可能性がある
油路の詰まりによる潤滑不良が発生すれば、部品の摩耗や焼き付きのリスクが高まります。また、バルブやポンプといった精密部品の動作不良にもつながり、生産ライン全体の停止を招く可能性も高いです。
スラッジは冷却効率の低下や腐食の進行も促進します。機器の寿命が短くなり、メンテナンスコストの増加も避けられません。安定した稼働を維持するためには、定期的なオイル管理とスラッジ対策が不可欠です。
清掃に時間がかかる
配管やタンク、装置の内部など、手が届きにくい場所にスラッジがたまると、通常の清掃方法では除去が困難です。結果として、専門の作業員による分解清掃や特殊な洗浄機器を導入する必要があります。
また、スラッジが硬化すると簡単には落とせず、清掃時間がさらに長引く傾向があります。設備の稼働停止時間も増え、生産性の低下にもつながるのです。
清掃の効率を維持するためには、日頃からスラッジの発生を抑える対策と、定期的なメンテナンスが重要です。
ワークに傷がつく
スラッジがワーク表面に付着することで、精密な加工が妨げられ、寸法精度の低下や表面粗さの悪化につながります。製品の品質不良や不具合の原因になりかねません。
また、スラッジにより工具が摩耗しやすくなり、加工中に傷がつくリスクも高まるのです。再加工や廃棄が必要となり、コストや納期にも大きな影響を与えます。
廃棄物処理コストの増加
スラッジには有害物質が含まれることも多く、適切な処理方法を採用しなければなりません。処理にかかる費用は年々増加傾向にあります。
運搬費用や処分場の確保、環境基準を満たすための処理工程など、多くのコストが発生します。費用の増大は、企業経営や自治体の財政に圧迫をもたらすでしょう。
スラッジの発生を抑制し、効率的な処理体制を整えることが、持続可能な運営のカギです。
スラッジの除去方法

スラッジの除去方法は以下の3つです。
それぞれの方法を把握して、スラッジがもたらす悪影響を防ぎましょう。
スラッジ除去剤を利用する
スラッジ除去剤は、装置内に付着した汚れやヘドロを化学的に分解・溶解し、スムーズに排出できる状態にします。使用方法は比較的簡単で、所定の量を装置に投入するだけで効果が現れます。
手作業による清掃の手間を大幅に減らすことができ、作業効率も向上するでしょう。ろ過装置のメンテナンスコストを抑えながら、清潔で安定した水質を維持するためにも、スラッジ除去剤の活用は非常に有効です。
定期的な使用を習慣化することで、長期的な設備の劣化防止にもつながります。
潤滑剤を利用する
潤滑剤には、粘着性のある汚れや堆積物を浮かせて分解しやすくする働きがあります。装置内部に潤滑剤を適量注入することで、スラッジが付着しにくくなり、洗浄作業もスムーズになります。
また、潤滑剤は金属部分の摩耗防止にも効果的で、ろ過装置の寿命延長にもつながるのもポイントです。使用にあたっては、装置に対応した潤滑剤を選ぶことが重要です。
メンテナンスの手間を軽減し、装置の効率を維持するためにも、潤滑剤を用いたスラッジ除去は有効な手段といえるでしょう。
スラッジ除去装置を導入する
スラッジ除去装置は、ろ過装置内に滞留したスラッジを効率的に排出することができ、設備の安定稼働をサポートしてくれます。手動での除去に比べて作業負担が軽減されるだけでなく、清掃の精度も向上するため、メンテナンスの効率化にもつながります。
結果として、ろ過性能の維持や装置寿命の延伸にも効果が期待できるのです。スラッジ除去装置の導入は、施設全体の運用効率を高める有効な手段といえるでしょう。
スラッジを除去するクーラントろ過装置

スラッジによるトラブルを回避するためには、定期的なメンテナンスも重要ですが、クーラントろ過装置を導入する方法もあります。
クーラントろ過装置を導入することで、日々発生するスラッジを効率よく回収・除去することが可能です。
そのため、クーラント液の寿命を縮めたり、工作物や工具を傷つけるといった恐れもなくなるでしょう。
また、クーラントろ過装置によって液中のスラッジをしっかりと回収できれば、フィルターの交換頻度が少なくなり、作業効率の向上にもつながります。
さらに、クーラント液の交換やタンク清掃の手間も軽減できるため、ランニングコストも削減可能です。
クーラント内のスラッジを効率よく除去したい方は、クーラントろ過装置の導入を検討してください。
クーラントろ過装置選びのコツ

クーラントろ過装置選びのポイントは以下の3つです。
それぞれのポイントを把握して、適切なクーラントろ過装置選びに役立ててみてください。
目的にあったクーラントろ過装置を選ぶ
クーラントろ過装置を選ぶ際は、使用する加工機や加工内容に応じたろ過性能が必要です。ろ過精度が不十分だと、工作物の品質に悪影響を及ぼす可能性があります。
処理能力も重要なポイントです。処理能力が足りないとクーラントの流れが滞り、機械全体のパフォーマンスが低下します。装置のサイズや設置スペースも確認しましょう。
メンテナンス性も見逃せません。ろ過材の交換が簡単であるか、清掃のしやすさなども選定基準となります。長期間の運用を見据えて、ランニングコストも比較しておくことが大切です。
目的に合ったクーラントろ過装置を選ぶことで、生産性の向上や不良率の低下が期待できます。慎重な選定が、現場の安定稼働につながります。
スラッジの特性から選ぶ
スラッジには金属粉や砥粒、切りくずなど様々な種類があり、それぞれ粒径や比重、沈降性が異なります。性質に応じて、最適なろ過方式や装置の構造を選定することが効率的なろ過につながります。
たとえば、微細なスラッジには高精度のフィルター式が適していますし、比重が大きく沈降しやすいスラッジには重力沈降式が効果的です。スラッジの性質に合わない装置を選ぶと、ろ過性能の低下や装置の詰まりといったトラブルの原因となります。
使用している加工機械や加工材料、発生するスラッジの傾向を事前に把握し、それに見合った装置選びをすることがポイントです。正しい選定により、ろ過効率の向上やメンテナンス負荷の軽減を実現できます。
複数社を比較する
メーカーによってろ過精度や処理能力、メンテナンス性に違いがあるため、導入後の生産性やコストに大きく影響します。たとえば、ろ過精度が高い製品は切削液の寿命を延ばし、機械のトラブルを減らす効果があります。
一方で、初期投資やフィルターの交換頻度などのランニングコストも加味しなければなりません。また、処理能力が不足すると生産ライン全体の効率が落ちる可能性があるため、使用環境に合ったスペック選びが求められます。
装置の清掃や部品交換のしやすさも、現場での負担を軽減するポイントです。実際の導入事例やアフターサービスの評価も確認し、総合的に判断することが、失敗しない選定のコツです。
クーラントろ過装置のおすすめメーカー

クーラントろ過装置を購入したいが、どこで購入すればいいのか悩んでいる方もいることでしょう。
ここでは、クーラントろ過装置のおすすめメーカーとして下記の2社を紹介します。
クーラントろ過装置を購入するメーカー選びの参考にしてください。
濾過精工株式会社

濾過精工株式会社は、クーラントのなかでも精密機械用クーラントに特化した、高性能ろ過システムの開発と普及に取り組んできた会社です。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 濾過精工株式会社 |
住所 | 東京都中央区日本橋蛎殻町1-10-1 |
電話番号 | 03-6264-8575 |
公式サイト | https://www.rokaseiko.com/ |
近年では、精密ろ過装置だけでなく、経験により積み上げたノウハウを活かし、クーラントタンク製造含めたクーラントシステム全体を提案しています。
濾過精工株式会社が提供する『精密クーラントろ過システム』は、スラッジをフィルターエレメントで捕集・除去し、クーラントの初期状態を可能な限り保持する循環式ろ過装置です。
特許を取得した独自の精密で円滑なろ過によって、加工に極めて高度な正確さを要求される分野でも、クーラントの清浄・長寿化に貢献しています。
また、逆洗浄機能も備わっているため、安定したろ過だけでなく、フィルター交換頻度も少ないです。
濾過精工株式会社の提案する製品は、多岐にわたる分野での需要が見込めるでしょう。
濾過精工株式会社が選ばれる理由
濾過精工株式会社は、信頼性と高い技術力の両方を兼ね備えたメーカーとして多くの現場で支持されています。特に、自社開発のろ過技術は非常に優れており、長期間安定した運用が可能です。
金属加工業界を中心に豊富な導入実績を持ち、実際の使用環境に基づいた最適な提案ができる点も強みです。装置のカスタマイズ性にも優れており、現場ごとのニーズに柔軟に対応できるのも高い評価を受けています。
また、アフターサポートの体制も整っており、万が一のトラブルにも迅速に対応してくれるため、安心して導入できます。長年にわたって築き上げた信頼と実績こそが、濾過精工株式会社が選ばれる最大の理由といえるでしょう。
以下の記事では濾過精工の会社の特徴や商品などを詳しく解説していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。
イースタン技研株式会社

項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | イースタン技研株式会社 |
住所 | 神奈川県大和市福田6-9-21 |
電話番号 | 046-268-3131 |
公式サイト | https://www.eastern-tech.co.jp/ |
イースタン技研は1970年の創立以来、ユーザーの立場に立ち、より良い製品・サービスを提案してきた会社です。
設計開発から機械製作・修理メンテナンスに至るまで各部門と連携し、一貫した製造体制を確立することで、高機能かつコストパフォーマンスの高いマシンを提供しています。
イースタン技研のクーラントろ過装置は、ワイヤーカット放電加工機に使用される高性能ろ過フィルターが使用可能です。
そのため、マグネットセパレータでも取り除けない砥石カスや非鉄金属のスラッジも、根こそぎ除去できます。
また、コンパクト設計で場所を取らないため、小規模な工場でも活用できるでしょう。
イースタン技研のクーラントろ過装置を使用することで、あらゆるスラッジを確実に除去し、ワークの仕上がりを向上させます。
イースタン技研株式会社が選ばれる理由
イースタン技研株式会社は、金属加工業界を中心に豊富な納入実績を持っており、技術力の高さがうかがえます。クーラントろ過装置は、ろ過精度や耐久性に優れており、生産性の向上とコスト削減を同時に実現します。
現場のニーズに応じたカスタマイズにも柔軟に対応できる点も、利用企業からの信頼につながっている理由です。また、導入後のサポート体制も充実しており、トラブル時の迅速な対応をしてくれます。
製造現場の安定稼働をしっかりと支えてくれます。クーラントろ過装置を安心して導入したい企業にとって、イースタン技研株式会社は最適な選択肢といえるでしょう。
以下の記事ではイースタン技研の会社の特徴や商品などを詳しく解説していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。
まとめ
今回は、スラッジの引き起こす悪影響から除去する方法を解説しました。
スラッジとは、切削加工や研削加工を行う工作機械から発生する、微細な切粉のことです。
クーラント液の寿命を縮めたり、工作物や工具を傷つける恐れがあるため、速やかに除去する必要があります。
スラッジを効率よく除去するには、クーラントろ過装置がおすすめです。
クーラントろ過装置を導入し、日々発生するスラッジを効率よく回収・除去することで、今回解説した悪影響の防止につながります。
スラッジを効率的に除去したい方は、クーラントろ過装置の導入を検討してください。