「脆性材とは？」
「脆性材スラッジを除去するには？」
脆性材とは、その名の通り『脆い材料』のことで、セラミックや鋳鉄・コンクリートなどが該当します。
切削加工や研削加工を行う際に、脆性材を扱うこともあるでしょう。
また、上記の際に発生する脆性材スラッジに、悩んでいる方もいるはず。
スラッジを放置しておくと、作業に支障をきたしてしまう場合もあります。
そこで今回は、脆性材の特性から脆性材スラッジの除去方法について解説します。
おすすめのクーラントろ過装置メーカーも紹介しているため、参考にしてください。
脆性材とは
脆性材は、製造業や工学分野で重要な役割を果たす材料の一種です。その特性と応用範囲は広く、様々な産業で利用されています。ここでは、脆性材の概要、特徴、そして代表的な例について解説します。
脆性材の概要
脆性材とは、その名が示す通り「脆い材料」のことを指します。外力が加わった際に、ほとんど塑性変形を起こさずに突然破壊する性質を持つ材料です。脆性材は、一定以上の応力が加わると、内部に急速に亀裂が進展し、瞬時に破断に至るのが特徴です。
脆性材の特徴
脆性材の主な特徴として、低い塑性変形能力が挙げられます。力が加わっても大きく変形することなく破壊します。また、多くの脆性材は圧縮力に対して高い強度を持ちますが、引張力や衝撃に弱い性質があります。
破壊の急激性も脆性材の特徴の一つです。力が加わると、ほとんど予兆なく突然破壊します。これらの特性により、脆性材の取り扱いや加工には特別な注意が必要となります。
代表的な脆性材
脆性材は私たちの身近に数多く存在します。代表的な例としてセラミック、鋳鉄、コンクリート、ガラスなどが挙げられます。
セラミックは高硬度で耐熱性に優れていますが、衝撃に弱い特性があります。鋳鉄は強度が高く、加工性に優れていますが、延性が低いのが特徴です。コンクリートは圧縮強度は高いものの、引張強度が低く、脆性破壊しやすい性質があります。ガラスは透明性と耐薬品性に優れていますが、衝撃に弱く、割れやすい特性があります。
これらの脆性材は、その特性を活かして様々な産業分野で利用されています。例えば、セラミックは電子部品や切削工具に、鋳鉄は機械部品に、コンクリートは建築構造物に広く使用されています。しかし、その脆い性質ゆえに、加工や使用には特別な配慮が必要となります。
脆性材と対をなす延性材
脆性材と対をなす『延性材』と呼ばれる物質もあります。脆性材と延性材は、外力に対する反応が大きく異なります。
脆性材は外力を受けるとほとんど変形せずに突然破壊します。一方、延性材は大きく変形し、破断前に著しい塑性変形を示します。延性材は、延びる性質を持っているため、ある力を受けても一瞬では壊れません。
延びると、生じた力は吸収され一気に全部が壊れるのではなく、局所的に変形していき徐々に破断していきます。
延性材に該当する物質は、下記のとおりです。
- ステンレス鋼
- アルミニウム
- プラスチック
- ゴム
延性材と脆性材の違いは、延びやすいか、脆いかの違いとなります。
材料選択では、高強度が必要な場合は脆性材、衝撃吸収性が重要な場合は延性材が適しています。ただし、多くの実用材料は両方の特性を併せ持つため、詳細な特性理解が重要です。
脆性材の課題
脆性材の加工は、その特性ゆえに多くの課題を伴います。近年の技術進歩により、脆性材の切削・研削加工が可能になりましたが、依然として注意が必要です。ここでは、脆性材の加工時に直面する主な問題点と、それに伴うスラッジの影響について解説します。
脆性材の切削・研削加工時には、材料の急激な破壊を防ぐため、非常に精密な制御が要求されます。加工中に過度の力がかかると、亀裂が急速に進展し、製品全体が破損する恐れがあります。そのため、適切な工具選択、加工速度の調整、冷却方法の最適化などが重要になります。
加工時に発生する脆性材スラッジも大きな課題です。これらのスラッジは非常に硬く鋭利で、マイクロサイズの粒子として発生します。クーラント液中に混入したスラッジは様々な問題を引き起こす可能性があるのです。
例えば、硬いスラッジが工具表面を削ることで工具の摩耗が促進され、工具寿命が著しく短縮される恐れがあります。また、スラッジが加工面に介在することで、表面粗さの増加や寸法精度の悪化といった加工精度の低下を招くことも。
さらに、スラッジの蓄積によりクーラント液の冷却・潤滑性能が低下し、液の劣化が進むことも懸念されます。加えて、ポンプやバルブなどの機械部品にスラッジが詰まることで、故障の原因となる場合もあります。
これらの課題に対処するためには、適切なクーラントろ過システムの導入が不可欠です。効果的なろ過により、スラッジを速やかに除去し、加工精度の維持と機械の長寿命化を図ることができます。また、定期的なメンテナンスや適切な加工パラメータの設定も、脆性材加工の成功には欠かせません。
脆性材スラッジによる悪影響
脆性材の切削・研削加工時に発生するスラッジは、製造プロセス全体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。これらのスラッジは非常に硬く鋭利で、マイクロサイズの粒子として発生するため、その影響は広範囲に及びます。主な悪影響として、以下の3点が挙げられます。
加工精度と製品品質の低下
脆性材スラッジがクーラント液中に混入すると、加工精度に大きな影響を与えます。スラッジが工具と加工物の間に入り込むことで、表面粗さの増加や寸法精度の低下を引き起こします。
これにより、最終製品の品質が著しく低下する可能性があります。特に高精度が要求される加工では、この影響は無視できません。
工具寿命の短縮と生産性の低下
硬質な脆性材スラッジは工具に対して著しい摩耗を引き起こします。これにより工具の寿命が大幅に短縮され、頻繁な工具交換が必要となります。
工具交換の増加は、生産性の低下とコスト増加につながり、製造プロセス全体の効率を低下させます。
機械設備の性能低下とダウンタイムの増加
脆性材スラッジは機械部品にも悪影響を及ぼします。ポンプやバルブなどの機械部品にスラッジが詰まることで、故障や性能低下を引き起こす可能性があります。これは予期せぬダウンタイムの原因となり、生産スケジュールに大きな影響を与える可能性があります。また、クーラント液の性能低下も機械設備全体の効率を下げる要因となります。
これらの悪影響を最小限に抑えるためには、適切なクーラントろ過システムの導入と定期的なメンテナンスが不可欠です。脆性材スラッジの特性を理解し、適切な対策を講じることが、高品質な製品生産と効率的な製造プロセスの維持につながります。
脆性材スラッジを除去するクーラントろ過装置
脆性材スラッジを除去するには、定期的なメンテナンスも重要ですが、クーラントろ過装置を導入するのもいいでしょう。
クーラントろ過装置を導入することで、日々発生するスラッジを効率よく回収・除去することが可能です。
そのため、クーラント液の寿命を縮めたり、工作物や工具を傷つけるといった恐れもなくなるでしょう。
また、クーラントろ過装置によって液中のスラッジをしっかりと回収できれば、フィルターの交換頻度が少なくなり、作業効率の向上にもつながります。
さらに、クーラント液の交換やタンク清掃の手間も軽減できるため、ランニングコストも削減可能です。
クーラント内のスラッジを効率よく除去したい方は、クーラントろ過装置の導入を検討してください。
クーラントろ過装置の種類
クーラントろ過装置には、下記のような種類があります。
目的や用途に合わせて適切な製品が異なるため、自分に合った製品を見つける参考にしてください。
カートリッジフィルター
カートリッジフィルターは、クーラント液に混入するスラッジを、フィルターエレメントで補修・除去する循環型のろ過装置です。
10μ以下のスラッジにも対応しているため、細かいスラッジをろ過したい方におすすめとなります。
また、他の装置でろ過しきれなかったスラッジを除去する、二次処理としても活用できるでしょう。
ただし、フィルターを通してろ過する関係上、目詰まりによって連続運転ができなくなってしまうこともあります。
そのため、目詰まりを軽減する逆洗浄機能が備わったろ過装置を選ぶのがおすすめです。
遠心分離機
遠心分離機は、遠心力を使ってクーラント液から異物を分離し、回収する装置です。
フィルター式と違って濾布やフィルター等の消耗品がなく、必要なのは電気やエアーといった動力源のみとなっています。
超硬やセラミック・鋳物などの脆性材に適しており、粗くて大量のスラッジをろ過したい方におすすめです。
ただし、10μ以下の微細なスラッジには対応していないため、注意しましょう。
遠心分離機について詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご覧ください。
マグネットセパレーター
マグネットセパレーターは、磁石の力で磁性の切粉・スラッジを吸着させて排出する装置です。
工作機械からタンクにクーラント液が戻る際に、マグネットセパレーターを通してスラッジを回収する仕組みとなっています。
アルミ・スチール・鉄などの金属素材をろ過したい方におすすめの装置です。
ただし、非磁性のスラッジなどは分離できないため注意してください。
マグネットセパレーターについて詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご覧ください。
クーラントろ過装置のおすすめメーカー
クーラントろ過装置を購入したいが、どこで購入すればいいのか悩んでいる方もいることでしょう。
そこで、クーラントろ過装置のおすすめメーカーとして下記の2社を紹介します。
クーラントろ過装置を購入するメーカー選びの参考にしてください。
濾過精工株式会社
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | 濾過精工株式会社 |
| 住所 | 東京都中央区日本橋蛎殻町1-10-1 |
| 電話番号 | 03-6264-8575 |
| 公式サイト | https://www.rokaseiko.com/ |
濾過精工株式会社は、クーラントのなかでも精密機械用クーラントに特化した、高性能ろ過システムの開発と普及に取り組んできた会社です。
近年では、精密ろ過装置だけでなく、経験により積み上げたノウハウを活かし、クーラントタンク製造含めたクーラントシステム全体を提案しています。
濾過精工株式会社が提供する『精密クーラントろ過システム』は、スラッジをフィルターエレメントで捕集・除去し、クーラントの初期状態を可能な限り保持する循環式ろ過装置です。
特許を取得した独自の精密で円滑なろ過によって、加工に極めて高度な正確さを要求される分野でも、クーラントの清浄・長寿化に貢献しています。
また、逆洗浄機能も備わっているため、安定したろ過だけでなく、フィルター交換頻度も少ないです。
濾過精工株式会社の提案する製品は、多岐にわたる分野での需要が見込めるでしょう。
イースタン技研株式会社
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | イースタン技研株式会社 |
| 住所 | 神奈川県大和市福田6-9-21 |
| 電話番号 | 046-268-3131 |
| 公式サイト | https://www.eastern-tech.co.jp/ |
イースタン技研は1970年の創立以来、ユーザーの立場に立ち、より良い製品・サービスを提案してきた会社です。
設計開発から機械製作・修理メンテナンスに至るまで各部門と連携し、一貫した製造体制を確立することで、高機能かつコストパフォーマンスの高いマシンを提供しています。
イースタン技研のクーラントろ過装置は、ワイヤーカット放電加工機に使用される高性能ろ過フィルターが使用可能です。
そのため、マグネットセパレータでも取り除けない砥石カスや非鉄金属のスラッジも、根こそぎ除去できます。
また、コンパクト設計で場所を取らないため、小規模な工場でも活用できるでしょう。
イースタン技研のクーラントろ過装置を使用することで、あらゆるスラッジを確実に除去し、ワークの仕上がりを向上させます。
まとめ
今回は、脆性材の特性から脆性材スラッジの除去方法について解説しました。
脆性材には力が作用した際、変形をほとんどせずに部品内に亀裂が生じ、一気に破壊する性質があります。
例えば、乾いた粘土を引っ張ると変形せずに、パキッと壊れてしまいます。これが脆性です。
切削・研削加工に脆性材を扱うこともあるでしょうが、加工時に発生するスラッジには注意しましょう。
スラッジを除去するには、クーラントろ過装置がおすすめです。
スラッジを効率的に除去したい方は、クーラントろ過装置の導入を検討してください。
