切削・研削加工時に発生するスラッジとは?スラッジが起こす問題から除去方法を解説

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「スラッジとは?」

「スラッジを除去するには?」

切削加工や研削加工の際に工作機械から発生する『スラッジ』。

日々の加工作業の中で発生するスラッジに、悩まされている方もいることでしょう。

スラッジを放置していると、さまざまな問題を引き起こすことになります。

そのため、クーラント液の定期的な交換やタンク清掃をし、クーラント液を正常な状態に保つことが重要です。

しかし、クーラント液の定期的な交換やタンク清掃には手間も費用もかかるため、負担に感じている方もいるはず。

そこで今回は、切削加工や研削加工時に発生するスラッジについて解説します。

スラッジが起こす問題から効率的な除去方法も解説するため、参考にしてください。

目次

スラッジとは

スラッジとは、切削加工や研削加工の際に工作機械から発生する微細な切粉のことです。

稼働中の工作機械は、タンク内のクーラント液の流れが速く、スラッジの多くは液中を漂っています。

タンク内の流れが緩やかになると、油分の有無によって、スラッジが浮上または沈殿してくるでしょう。

工作機械の稼働している間はスラッジが発生し続けるため、速やかに回収しないとクーラント液中にどんどん増えていくことになります。

クーラント液中に混入したスラッジを放置し続けていると、さまざまな問題を引き起こす場合があるため、注意が必要です。

スラッジが起こす問題

ここからは、スラッジが起こす下記3つの問題を解説します。

心当たりのある方は、速やかに対処する必要があるでしょう。

切削・研削工具の短命化

スラッジがクーラント液中に混入すると、切削・研削工具の寿命が大幅に短くなります。加工時にスラッジが工具表面を削り、摩耗を促進します。特に硬質のスラッジは、工具の刃先や表面に微細な傷をつけ、切れ味を急速に低下させます。

また、スラッジの蓄積によってクーラント液の冷却効果が低下し、工具の熱劣化も進行します。さらに、クーラント中に増えたスラッジは、ノズルやポンプを目詰まりさせ、適切な冷却や潤滑が行えなくなる可能性があります。これらの要因により、工具の交換頻度が増加し、ランニングコストの上昇と生産性の低下を招きます。

クーラント液の腐敗

液面に浮上したスラッジは、タンクの表面を覆い、クーラント液の腐敗を引き起こします。スラッジの層が液面を覆うことで、液中への酸素供給が遮断され、嫌気性細菌の増殖が促進されます。これにより、クーラント液の pH バランスが崩れ、防錆性能や潤滑性能が低下します。

腐敗したクーラント液からは悪臭が発生し、作業環境を悪化させます。悪臭は従業員の健康に悪影響を与え、作業効率の低下や労働意欲の減退を招く可能性があります。

さらに、腐敗したクーラント液は金属部品の腐食を促進し、機械の寿命を縮める原因にもなります。

加工不良

クーラント液中のスラッジは、加工品質に直接的な悪影響を及ぼします。加工物にスラッジが付着すると、加工面の粗さが増加し、スクラッチ傷の原因となります。

特に研削加工では、微細なスラッジや砥粒が加工面に擦り傷を付け、製品の外観品質や機能性を損なう可能性があります。また、スラッジが給油配管を詰まらせると、切削油の供給不足を引き起こし、加工面の粗さが目立つ原因となります。

さらに、スラッジの蓄積は加工精度の低下につながり、寸法精度や形状精度に悪影響を与えます。これらの問題は、不良品率の上昇や顧客からのクレーム増加につながる可能性があります。

上記のように、スラッジは工作物の加工不良を招くため、速やかに除去しましょう。

スラッジ除去の効果的な方法

スラッジによる問題を防ぐためには、効果的な除去方法を実践することが重要です。以下に、スラッジ除去の主要な方法を紹介します。

これらの方法を適切に組み合わせることで、クーラント液の品質維持と加工精度の向上が期待できます。

定期的なメンテナンス

定期的なメンテナンスは、スラッジ除去の基本となります。クーラントタンクの定期清掃、液面のスキミング、沈殿物の除去などを計画的に実施することが重要です。特に、休止期間の前後には徹底的な清掃を行いましょう。

また、クーラント液の濃度管理や pH 値のチェックも欠かせません。これらの作業を通じて、スラッジの蓄積を最小限に抑え、クーラント液の性能を維持することができます。定期的なメンテナンスは、突発的な機械の故障や加工不良を防ぐ上でも効果的です。

適切なろ過装置の選択

効果的なスラッジ除去には、適切なろ過装置の選択が不可欠です。加工方法や発生するスラッジの特性に合わせて、最適なろ過装置を選定することが重要です。

例えば、磁性体のスラッジが多い場合はマグネットセパレーターが、微細なスラッジの除去には高性能なカートリッジフィルターが効果的です。また、連続的なろ過が必要な場合は、自動逆洗機能付きの装置を検討するのも良いでしょう。

適切なろ過装置の導入により、スラッジの効率的な除去と同時に、メンテナンス作業の軽減も実現できます。

作業環境の改善

スラッジの発生を抑制し、効果的に除去するためには、作業環境の改善も重要です。まず、加工エリアの清浄度を高めることで、外部からのスラッジの混入を防ぎます。

また、適切な換気システムを導入し、空気中の浮遊スラッジを減少させることも効果的です。さらに、作業者への教育も重要で、適切な加工条件の設定や、使用後の工具の清掃など、スラッジの発生を最小限に抑える作業方法を徹底することが大切です。これらの取り組みにより、スラッジの発生源から対策を講じることができます。

スラッジを除去するクーラントろ過装置

クーラントろ過装置は、スラッジの効果的な除去に不可欠な設備です。これらの装置は、クーラント液の清浄度を維持し、加工精度の向上と機械の長寿命化に貢献します。ここでは、クーラントろ過装置の基本的な仕組みと主な種類について説明します。

クーラントろ過装置の仕組み

クーラントろ過装置の基本的な仕組みは、汚れたクーラント液からスラッジを物理的に分離することです。一般的に、ポンプでクーラント液を吸引し、フィルターや遠心力などを利用してスラッジを捕捉します。捕捉されたスラッジは装置内に蓄積され、定期的に除去されます。清浄化されたクーラント液は再び加工機に戻され、循環利用されます。

多くのろ過装置は、粗いろ過と細かいろ過の2段階のプロセスを採用しています。まず、大きなスラッジを除去し、次に微細なスラッジを捕捉します。これにより、効率的かつ確実なろ過が可能になります。

また、一部の高性能な装置では、自動逆洗機能を備えており、フィルターの目詰まりを防ぎ、長期間の連続運転を実現しています。

クーラントろ過装置の種類

クーラントろ過装置には、様々な種類があり、それぞれ特徴があります。主な種類は以下の通りです。

  • マグネットセパレーター
  • サイクロンフィルター
  • カートリッジフィルター
  • ペーパーフィルター
  • 真空ろ過装置

マグネットセパレーターは磁性体のスラッジを効果的に除去し、特に鉄系の金属加工に適しています。サイクロンフィルターは遠心力を利用して比較的大きなスラッジの除去に効果を発揮します。

カートリッジフィルターは高性能なフィルター素材を使用し、微細なスラッジまで除去できるため、精密加工に適しています。ペーパーフィルターは使い捨てのフィルターペーパーを使用し、広範囲のスラッジサイズに対応します。

真空ろ過装置は真空ポンプを使用して効率的にスラッジを分離し、大量のクーラント液を処理する際に適しています。

これらの装置は、加工方法、スラッジの特性、処理量などに応じて選択します。また、複数の方式を組み合わせることで、より効果的なろ過システムを構築することも可能です。

クーラントろ過装置のおすすめメーカー

クーラントろ過装置を購入したいが、どこで購入すればいいのか悩んでいる方もいることでしょう。

ここでは、クーラントろ過装置のおすすめメーカーとして下記の2社を紹介します。

クーラントろ過装置を購入するメーカー選びの参考にしてください。

濾過精工株式会社

出典元:濾過精工株式会社
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項目詳細
会社名濾過精工株式会社
住所東京都中央区日本橋蛎殻町1-10-1
電話番号03-6264-8575
公式サイトhttps://www.rokaseiko.com/

濾過精工株式会社は、クーラントのなかでも精密機械用クーラントに特化した、高性能ろ過システムの開発と普及に取り組んできた会社です。

近年では、精密ろ過装置だけでなく、経験により積み上げたノウハウを活かし、クーラントタンク製造含めたクーラントシステム全体を提案しています。

濾過精工株式会社が提供する『精密クーラントろ過システム』は、スラッジをフィルターエレメントで捕集・除去し、クーラントの初期状態を可能な限り保持する循環式ろ過装置です。

特許を取得した独自の精密で円滑なろ過によって、加工に極めて高度な正確さを要求される分野でも、クーラントの清浄・長寿化に貢献しています。

また、逆洗浄機能も備わっているため、安定したろ過だけでなく、フィルター交換頻度も少ないです。

濾過精工株式会社の提案する製品は、多岐にわたる分野での需要が見込めるでしょう。

イースタン技研株式会社

出典元:イースタン技研
スクロールできます
項目詳細
会社名イースタン技研株式会社
住所神奈川県大和市福田6-9-21
電話番号046-268-3131
公式サイトhttps://www.eastern-tech.co.jp/

イースタン技研は1970年の創立以来、ユーザーの立場に立ち、より良い製品・サービスを提案してきた会社です。

設計開発から機械製作・修理メンテナンスに至るまで各部門と連携し、一貫した製造体制を確立することで、高機能かつコストパフォーマンスの高いマシンを提供しています。

イースタン技研のクーラントろ過装置は、ワイヤーカット放電加工機に使用される高性能ろ過フィルターが使用可能です。

そのため、マグネットセパレータでも取り除けない砥石カスや非鉄金属のスラッジも、根こそぎ除去できます。

また、コンパクト設計で場所を取らないため、小規模な工場でも活用できるでしょう。

イースタン技研のクーラントろ過装置を使用することで、あらゆるスラッジを確実に除去し、ワークの仕上がりを向上させます。

まとめ

今回は、切削加工や研削加工時に発生するスラッジについて解説しました。

スラッジとは、切削加工や研削加工の際に工作機械から発生する微細な切粉のことです。

工作機械の稼働している間はスラッジが発生し続けるため、速やかに回収しないとクーラント液中にどんどん増えていき、下記のような問題を引き起こします。

  • 切削・研削工具の短命化
  • クーラント液の腐敗
  • 加工不良

上記のような問題を起こさないためにも、スラッジを効率よく除去する必要があります。

スラッジの除去には、クーラントろ過装置がおすすめです。

今回解説した内容を参考に、クーラントろ過装置の導入を検討してください。

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