「スラッジとは?」
「スラッジを除去するには?」
切削加工や研削加工の際に工作機械から発生する『スラッジ』。日々の加工作業の中で発生するスラッジに、悩まされている方もいることでしょう。
スラッジを放置すると、さまざまな問題を引き起こしてしまいます。そのため、クーラント液の定期的な交換やタンク清掃をし、クーラント液を正常な状態に保つことが重要です。
しかし、クーラント液の定期的な交換やタンク清掃には手間も費用もかかるため、負担に感じている方もいるはず。
そこで今回は、切削加工や研削加工時に発生するスラッジについて解説します。スラッジが起こす問題から効率的な除去方法も解説するため、参考にしてください。
また、以下の記事ではクーラント濾過装置導入でおすすめのメーカーを紹介していますので、気になる方はぜひ参考にしてみて下さい。
スラッジとは

スラッジとは、切削加工や研削加工の際に工作機械から発生する微細な切粉のことです。
稼働中の工作機械は、タンク内のクーラント液の流れが速く、液中にスラッジが多く漂っています。タンク内の流れが緩やかになると、油分の有無によって、スラッジが浮上または沈殿します。
スラッジは加工精度や機械の性能に大きな影響を与えるため、適切な対策が必要です。
スラッジが起こす問題

ここからは、スラッジが起こす下記3つの問題を解説します。
心当たりのある方は、速やかに対処する必要があるでしょう。
切削・研削工具の短命化
スラッジがクーラント液中に混入すると、切削・研削工具の寿命が大幅に短くなります。これは、加工時にスラッジが工具表面を削り、摩耗を促進するためです。
特に硬質のスラッジは、工具の刃先や表面に微細な傷をつけ、切れ味を急速に低下させてしまいます。また、スラッジの蓄積によってクーラント液の冷却効果が低下し、工具の熱劣化も進行します。
さらに、クーラント中に増えたスラッジは、ノズルやポンプを目詰まりさせ、適切な冷却や潤滑が行えなくなる恐れがあり危険です。これらの要因により、工具の交換頻度が増加し、ランニングコストが上昇するだけでなく、生産性の低下も招いてしまいます。
クーラント液の腐敗
液面に浮上したスラッジがタンクの表面を覆うと、クーラント液の腐敗を引き起こします。なぜなら、液中への酸素供給が遮断され、嫌気性細菌の増殖が促進されてしまうからです。これにより、クーラント液の pH バランスが崩れ、防錆性能や潤滑性能が低下します。
腐敗したクーラント液からは悪臭が発生します。悪臭は従業員の健康に悪影響を与え、作業効率の低下や労働意欲の減退を招く恐れがあるため対処が必要です。
さらに、腐敗したクーラント液は金属部品の腐食を促進し、機械の寿命を縮める原因にもなります。
加工不良
スクラッチ傷は、クーラント液中のスラッジが加工物に付着し、加工面の粗さが増加したことが原因です。特に、研削加工では、微細なスラッジや砥粒が加工面を傷つけ、製品の外観品質や機能性を損ねてしまいます。
そして、スラッジが給油配管を詰まらせると、切削油の供給不足を引き起こし、より加工面の粗さが目立つ原因です。このように、スラッジの蓄積は寸法や形状の精度に悪影響を及ぼし、加工精度の低下につながります。
これらの問題は、不良品率の上昇や顧客からのクレーム増加につながる可能性があります。そのため、速やかに除去しましょう。
スラッジ除去の効果的な方法

スラッジによる問題を防ぐためには、効果的な除去方法を実践することが重要です。以下に、スラッジ除去の主要な方法を紹介します。
これらの方法を適切に組み合わせることで、クーラント液の品質維持と加工精度の向上が期待できます。
定期的なメンテナンス

定期的なメンテナンスは、スラッジ除去の基本です。クーラントタンクの定期清掃、液面のスキミング、沈殿物の除去などを計画的に実施しましょう。
特に、機械の稼働前後には徹底的な清掃が必要です。また、クーラント液の濃度管理や pH 値のチェックも欠かせません。
これらの作業を通じて、スラッジの蓄積を最小限に抑え、クーラント液の性能を維持できます。このように、定期的なメンテナンスは、突発的な機械の故障や加工不良を防ぐのに効果的です。
適切なろ過装置の選択
スラッジを効果的に除去するには、適切なろ過装置の選択が不可欠です。加工方法や発生するスラッジの特性に合わせて、最適なろ過装置を選びましょう。
例えば、磁性体のスラッジが多い場合はマグネットセパレーターが、微細なスラッジの除去には高性能なカートリッジフィルターが効果的です。また、連続的なろ過が必要な場合は、自動逆洗機能付きの装置を検討するのも良いでしょう。
適切なろ過装置の導入により、スラッジの効率的な除去と同時に、メンテナンス作業の軽減も実現できます。
作業環境の改善

スラッジの発生を抑制し、除去すると、作業環境の改善にもつながります。加工エリアの清浄度を高めると、スラッジが外部から混入するのを防げます。また、適切な換気システムを導入すると、空気中に浮遊しているスラッジの減少に効果的です。
さらに、適切な加工条件の設定や使用後の工具の清掃など、スラッジの発生を最小限に抑える作業方法を徹底するために、作業者への教育も重要です。これらの取り組みにより、スラッジの発生源から対策を講じられます。
スラッジの種類別に向いている除去方式

スラッジは加工内容によって性質が大きく異なります。鉄系加工では磁性体スラッジが多く発生する一方で、アルミ加工では非磁性体スラッジが中心になります。
また、研削加工では非常に細かなスラッジが発生しやすく、再付着による加工不良も起こりやすくなります。そのため、単純に処理能力だけを見るのではなく、粒径や性質に合った方式選定が欠かせません。
さらに、発生量やクーラント液の循環量も重要です。大量処理が必要なラインでは連続運転性能が求められます。一方、高精度加工では微細粒子の除去性能が優先されます。
| スラッジの状態 | 主な発生場面 | 向く方式 | 向かないケース |
| 微細で再付着しやすい | 高精度加工・研削 | カートリッジフィルター・真空ろ過装置 | 粗い粒子前提の方式のみ |
| 磁性体が多い | 鉄系加工 | マグネットセパレーター | 非磁性体主体の加工 |
| 比重差が出やすい | 切削スラッジ回収 | サイクロンフィルター・遠心分離機 | 微細粒子の高精度回収 |
磁性体スラッジに向く方式
鉄系加工では磁性体スラッジが大量に発生しやすくなります。こちらのケースでは、磁力を活用した除去方式が効果的です。
・マグネットセパレーターが適している理由
マグネットセパレーターは、鉄粉や鋼材由来のスラッジを磁力で吸着し、効率良く除去できる装置です。フィルターエレメントを使用しないため、目詰まりが発生しにくく、安定した連続運転にも向いています。
また、消耗品交換が少ないため、ランニングコストを抑えやすい点も特徴です。鉄系加工ラインでは、粗いスラッジを大量に回収する場面で多く採用されています。
さらに、比較的シンプルな構造であるため、メンテナンス性にも優れています。設備停止時間を短縮しやすく、稼働率を維持しやすい点も導入メリットです。鉄系加工では、切削油やクーラント液に大量の鉄粉が混入します。これらを放置すると、ポンプやノズル内部へ蓄積し、機械トラブルを引き起こす恐れがあります。
マグネットセパレーターを導入することで、こうした粗い磁性体スラッジを効率良く除去できるため、設備保護や工具寿命延長にもつながります。
・磁性体スラッジ対策で注意したいポイント

マグネットセパレーターは、非磁性体スラッジには対応できません。アルミや樹脂加工が混在する環境では、十分な除去性能を発揮できない場合があります。そのため、非磁性体が含まれる場合は、遠心分離機やカートリッジフィルターとの併用を検討することが重要です。
また、微細な磁性体スラッジについては、単独では完全除去が難しいケースもあります。特に高精度加工では、細かな鉄粉が加工面へ再付着し、不良発生につながる場合があります。
そのため、前段でマグネットセパレーターによって粗い鉄粉を除去し、後段でカートリッジフィルターによる高精度ろ過を行う多段構成を採用するケースも少なくありません。
さらに、磁石表面へスラッジが大量に付着すると、回収効率が低下する恐れがあります。安定した性能を維持するには、定期的な清掃や点検も重要です。加工条件やスラッジ発生量に応じて適切な方式を組み合わせることで、より効率的なスラッジ対策につながります。
非磁性体スラッジに向く方式
アルミや非鉄金属の加工では、磁力による回収が難しいスラッジが発生します。そのため、比重差や遠心力を利用した除去方式が重要になります。非磁性体スラッジは、アルミ切粉や樹脂粉、非鉄金属由来の微細粒子などが代表例です。鉄粉とは異なり、マグネットセパレーターでは十分に回収できません。
また、アルミ加工では軽量なスラッジがクーラント液中に浮遊しやすく、加工面への再付着も発生しやすくなります。再付着したスラッジは、スクラッチ傷や寸法精度低下の原因になるため注意が必要です。
さらに、クーラントタンク内部へ蓄積すると、ポンプや配管への負荷が増加し、設備トラブルにつながる場合もあります。そのため、スラッジの粒径や発生量に合わせた除去方式の選定が欠かせません。
非磁性体スラッジ対策では、単純な回収能力だけでなく、連続運転性能やメンテナンス性も重要です。加工ラインの停止を減らしながら安定したろ過性能を維持できる装置が求められています。
・サイクロンフィルターが向くケース

サイクロンフィルターは、遠心力によってスラッジを分離する装置です。比較的大きな粒子や比重差が出やすいスラッジの回収に適しています。フィルターエレメントを使用しない構造が多く、メンテナンス負担を軽減しやすい点も特徴です。切削加工で発生するスラッジ回収に向いています。
サイクロンフィルターは、円筒内部へクーラント液を高速で流し込み、内部に渦流を発生させます。この遠心力によって、比重の大きいスラッジを外周側へ押し出し、分離回収する仕組みです。
構造が比較的シンプルであるため、設備導入後の維持管理もしやすくなっています。フィルター交換が不要なタイプも多く、消耗品コストを抑えやすい点もメリットです。
また、粗いアルミ切粉や比較的大きな非磁性体スラッジを大量に処理する場面にも向いています。切削加工ラインでは、前段処理として導入されるケースも少なくありません。さらに、クーラント液の循環量が多い現場でも対応しやすく、連続稼働を維持しながらスラッジを除去できます。
ただし、非常に細かな粒子については分離しきれない場合があります。高精度加工では、後段に高性能フィルターを追加するケースもあります。
・遠心分離機が向くケース
遠心分離機は、高速回転による遠心力を利用してスラッジを分離します。磁性・非磁性を問わず対応できるため、多様な加工環境に適しています。また、連続運転に対応しやすく、大量のクーラント液を処理するラインでも導入されています。
遠心分離機は、ドラム内部を高速回転させることで強力な遠心力を発生させ、比重差によってスラッジを分離します。磁力に依存しないため、アルミや銅などの非鉄金属スラッジにも対応可能です。
フィルターエレメントを使用しない構造も多く、目詰まりによる処理能力低下が発生しにくい特徴があります。そのため、安定したろ過性能を維持しやすく、大量処理が必要な現場にも向いています。加工ラインを停止せずに連続運転できる点もメリットです。自動車部品加工や量産ラインなど、長時間稼働する現場でも導入されています。
さらに、比較的広範囲の粒径へ対応できるため、複数種類のスラッジが混在する環境でも活用されています。
一方で、設備サイズが大きくなる傾向があり、設置スペースを確保する必要があります。また、高速回転を行うため、定期点検やメンテナンスも重要です。
・非磁性体スラッジ対策の注意点

サイクロンフィルターや遠心分離機は、比較的大きな粒子の除去に向いています。一方、微細粒子の高精度除去には限界があります。高精度加工では、カートリッジフィルターなどとの併用が必要になるケースもあります。
特に研削加工では、非常に細かなスラッジが大量発生しやすくなります。こうした微細粒子は加工面へ再付着しやすく、表面粗さ悪化やスクラッチ傷の原因になるため注意が必要です。
また、微細粒子がクーラント液中へ蓄積すると、冷却性能や潤滑性能の低下につながります。工具寿命の短縮や加工精度低下を引き起こす可能性もあります。
そのため、多くの現場では前段でサイクロンフィルターや遠心分離機を使用し、後段でカートリッジフィルターによる高精度ろ過を行う多段構成を採用しています。
さらに、クーラント液の種類や加工条件によっても適した方式は変わります。単純に処理能力だけを見るのではなく、加工品質やメンテナンス性、ランニングコストまで含めた総合的な検討が重要です。加工内容に適した除去方式を選定することで、クーラント液の清浄度維持や加工品質向上につながります。
微細スラッジに向く方式
研削加工や高精度加工では、微細なスラッジが加工面へ再付着しやすくなります。加工品質を維持するためには、高精度ろ過が欠かせません。
微細スラッジは、研削加工で発生する砥粒や細かな金属粉などが代表例です。粒径が非常に小さいため、クーラント液中に長時間浮遊しやすく、一般的な粗ろ過だけでは十分に除去できないケースがあります。
また、微細スラッジは加工面へ再付着しやすく、スクラッチ傷や面粗度悪化を引き起こす原因になります。特に高精度加工では、わずかな異物でも製品品質へ大きく影響するため注意が必要です。
さらに、クーラント液へ微細粒子が蓄積すると、冷却性能や潤滑性能が低下し、工具摩耗や加工熱増加につながる場合があります。そのため、微細粒子まで除去できる高精度ろ過装置が重要です。微細スラッジ対策では、単純な処理量だけでなく、ろ過精度やクーラント液の清浄維持能力も重視する必要があります。
・カートリッジフィルターが向く理由

カートリッジフィルターは、10μm以下の微細粒子にも対応できる高精度ろ過装置です。加工面品質を重視する精密加工分野で多く使用されています。ろ材の種類を変更することで、加工内容や粒径に合わせた調整も可能です。
カートリッジフィルターは、内部へ細かなろ材を配置し、クーラント液を通過させることでスラッジを捕集します。微細粒子まで効率良く除去できるため、研削加工や半導体部品加工など、高い加工精度が求められる現場で採用されています。
また、ろ過精度の種類が豊富であり、加工内容に応じた選定が可能です。粗めの粒子を対象とするタイプから、極めて細かな粒子まで除去できる高精度タイプまで幅広く用意されています。さらに、加工面品質を安定させやすい点もメリットです。微細な異物が減少することで、スクラッチ傷や寸法不良の発生抑制につながります。
クーラント液の清浄度維持にも優れており、冷却性能や潤滑性能の安定化にも効果的です。その結果、工具寿命延長や加工品質向上にもつながります。
一方で、微細粒子を大量に回収すると、ろ材が目詰まりしやすくなります。そのため、定期的なフィルター交換やメンテナンスが必要です。また、処理量が非常に多い現場では、単独運用だけでは負荷が大きくなる場合もあります。前段処理との組み合わせによって負担を分散させるケースも少なくありません。
・真空ろ過装置が向く理由
真空ろ過装置は、負圧によってクーラント液を吸引し、微細なスラッジや油分を効率良く除去します。ろ過性能が高く、クーラント液の清浄度維持に優れているため、研削加工や高精度加工との相性が良い装置です。
真空ろ過装置は、真空ポンプによってクーラント液を強制的に吸引し、フィルター面へ均一に流すことで高効率なろ過を実現しています。通常の自然落下式ろ過よりも安定した処理が行いやすく、微細粒子除去性能にも優れています。
また、油分を含むスラッジにも対応しやすいため、複雑な加工環境でも活用されています。研削加工では砥石粉や微細金属粉が大量発生するため、真空ろ過装置の高精度ろ過性能が効果的です。
さらに、ろ過性能が安定しやすく、長時間運転でもクーラント液の清浄度を維持しやすい特徴があります。そのため、量産ラインや長時間連続稼働を行う加工現場でも導入されています。加工品質を安定化しやすい点も大きなメリットです。クーラント液内の異物を減らすことで、加工熱上昇や工具摩耗を抑制しやすくなります。
ただし、高性能な装置ほど設備コストが高くなる傾向があります。また、真空ポンプやフィルター部の定期点検も必要になるため、維持管理体制も重要です。
・微細スラッジ対策で注意したいポイント

高精度ろ過では、フィルター交換頻度やランニングコストが増えやすくなります。また、処理量が多い場合は、単独方式だけでは対応しきれないケースもあります。そのため、前段で粗いスラッジを除去し、後段で微細粒子を回収する多段構成を採用するケースも少なくありません。
例えば、前段でサイクロンフィルターや遠心分離機によって大きなスラッジを除去し、後段でカートリッジフィルターや真空ろ過装置によって微細粒子を回収する方法があります。
このような多段構成を採用することで、後段フィルターの負荷軽減につながります。フィルター寿命を延ばしながら、高精度ろ過を維持しやすくなる点もメリットです。
また、加工内容によって必要なろ過精度は異なります。過剰な高精度ろ過を行うと、設備コストやメンテナンス負担が増加する場合があります。そのため、加工精度、処理量、ランニングコストのバランスを考慮した選定が重要です。加工現場に適したろ過システムを構築することで、加工品質向上と設備安定稼働の両立につながります。
『自社のスラッジに合う方式を比較したい方は、クーラント濾過装置おすすめメーカー比較を確認してください』
▼遠心分離機とは?特徴やメリット・デメリット、選び方も徹底解説
スラッジを除去するクーラントろ過装置

クーラントろ過装置は、スラッジの除去に不可欠な設備です。これらの装置は、クーラント液の清浄度を維持し、加工精度の向上と機械の長寿命化に貢献します。ここでは、クーラントろ過装置の基本的な仕組みと主な種類について説明します。
クーラントろ過装置の仕組み

基本的に、クーラントろ過装置はクーラント液から金属粉や砥石粉などのスラッジを分離して除去する仕組みです。フィルターや遠心力などを利用して、クーラント液を常に清潔な状態に保ちます。
クーラントろ過装置の仕組みは以下の通りです。
- 加工中に発生した汚れたクーラント液を集める
- フィルターや遠心力などを利用して、クーラント液からスラッジを分離する
- 浄化されたクーラント液を再度工作機械に供給する
多くのろ過装置は、粗いろ過と細かいろ過の2段階のプロセスを採用しています。正常化されたクーラント液は再び加工機に戻され、循環利用されます。
また、一部の高性能な装置では、自動逆洗機能を備えており、フィルターの目詰まりを防ぎ、長期間の連続運転を実現しています。
クーラントろ過装置の種類
クーラントろ過装置には、様々な種類があり、それぞれ特徴があります。主な種類は以下の通りです。
- マグネットセパレーター:磁石の力で磁性の切粉。スラッジを吸着させて排出する
- サイクロンフィルター:遠心力を利用し、スラッジを除去する。比較的大きなスラッジの除去に効果的
- カートリッジフィルター:高性能なフィルター素材を使用し、微細なスラッジまで除去する。精密加工に最適
- ペーパーフィルター:使い捨てのフィルターペーパーを使用し、スラッジを除去。広範囲のスラッジサイズに対応
- 真空ろ過装置:真空ポンプを使用し、効率良くスラッジを分離。大量のクーラント液を処理するのに最適
これらの装置は、加工方法、スラッジの特性、処理量などに応じて選択します。また、複数の方式を組み合わせることで、より効果的なろ過システムの構築が可能です。
クーラントろ過装置の種類

クーラントろ過装置には種類がたくさんあり、それぞれ特徴があります。数あるクーラントろ過装置の中から、加工方法やスラッジの特性、処理量などに応じて選ぶことが重要です。
複数の方法を組み合わせると、より効果的なろ過システムも構築できます。以下では、クーラントろ過装置について解説していきます。
サイクロンフィルター
サイクロンフィルターは遠心力を利用して、スラッジを分離する装置です。『サイクロン』とも言われています。構造はとてもシンプルで、仕組みは以下の通りです。
- 円錐形の容器に液体を高速で流す
- 容器内で液体が渦巻き、遠心力によってスラッジが外側に押し出される
- クーラント液の排出口から清浄されたクーラント液を排出する
2種類の分離方法があり、ろ過対象物が液体の場合は『液体サイクロン』、気体の場合は『乾式サイクロン(ガスサイクロン)』を使用します。
サイクロンフィルターは比重の大きな切削スラッジや金属粉の除去に効果的です。フィルターエレメントを使用しないため、メンテナンスの手間も削減できます。
マグネットセパレーター
マグネットセパレーターは、磁力を利用して、鉄分などの磁性スラッジを効率的に除去する装置です。磁性スラッジを強力な磁石で吸着し、クーラント液を清浄に保ちます。
工作機械の切削加工や研削加工では、鉄や鋼の微細な切粉や砥粒がクーラント液に混入します。これは機械や工具の摩耗を早める原因です。
マグネットセパレーターは消耗品が不要で、メンテナンスが容易です。フィルターエレメントを使用しないため、目詰まりの心配なく、清浄なクーラント液を持続的に維持できます。
処理能力が高いタイプは、連続運転が可能です。そのため、加工ラインの稼働を止めず、スラッジを除去できます。
ただし、非磁性のスラッジは除去できない点に注意してください。
カートリッジフィルター
カートリッジフィルターは、ろ材を使用して、クーラント液内の微細なスラッジや異物を除去する装置です。フィルター内部には細かい繊維状のろ材が配置されており、クーラント液を通過させることで、スラッジを分離します。
カートリッジフィルターの最大の特徴は、ろ過精度が高く、10μm以下の微細なスラッジにも対応している点です。そのため、精密加工を行う工場や、高品質なクーラント液の維持が求められる場合に適しています。
フィルターの種類や目の細かさも選択でき、異なる加工環境にも柔軟に対応可能です。ただし、ろ材が目詰まりすると、フィルター交換が必要なので、定期的なメンテナンスが欠かせません。
フィルターの交換頻度は使用状況によって異なりますが、ランニングコストを抑えるには、スラッジの発生量に合ったフィルターを選びましょう。
遠心分離機
遠心分離機は、遠心力を利用してクーラント液中のスラッジを分離・除去する装置です。高速回転するドラム内でクーラント液を回転させ、比重の大きなスラッジを外側へ押し出し、沈降・分離させます。
フィルターエレメントを使用しないため、目詰まりが発生せず、安定した処理能力を維持できるのが特徴です。そして、磁性、非磁性を問わず、幅広いタイプのスラッジを効率良く分離できるため、多様な加工環境に対応しています。
これにより、ろ過性能の低下を防ぎ、一定処理能力を持続できます。連続運転が可能なため、生産ラインの稼働を止めず、クーラント液の清浄が可能です。
しかし、遠心分離機は設置スペースが必要で、比重の小さい微細なスラッジの完全な除去には向いていません。高精度のろ過を求める場合は、カートリッジフィルターやサイクロンフィルターとの併用がおすすめです。
ペーパーフィルター
ペーパーフィルターはろ紙を使用して、クーラント液内のスラッジを分離・除去する装置です。フィルターを通過する際にスラッジを分離する仕組みになっており、ろ過性能に優れています。
ペーパーフィルターの最大のメリットは、ろ過精度が高く、10μm以下の微細なスラッジにも対応している点です。構造もシンプルであるため、導入コストも抑えられ、メンテナンスも容易です。
ただ、一定量のスラッジを捕集すると交換が必要になり、ランニングコストがかかります。また、ろ紙の目詰まりが発生するとろ過効率が低下し、クーラントの流れが悪くなることがあります。
そのため、使用頻度やスラッジの発生量に応じたメンテナンスが欠かせません。ペーパーフィルターは、細かい切削粉や砥粒を効果的に除去できるため、研削加工や精密加工に最適です。
真空ろ過装置
真空ろ過装置は、真空(負圧)を利用して、クーラント液からスラッジや不純物を効率良く分離する装置です。
通常のフィルター方式は、重力やポンプ圧を利用してろ過します。対して、真空ろ過装置は真空にすることで、クーラント液を強制的に吸引するため、効率の良いスラッジ除去に効果的です。
真空ろ過装置は、ろ過精度が高く、安定した処理能力を持っています。微細な切削粉や砥粒、油分を含むスラッジも効果的に除去できるため、研削加工や精密加工などクーラント液の清浄度が求められる環境に最適です。
フィルターの目詰まりを低減できる設計が多く、メンテナンス頻度も抑えられています。
ドラムフィルター
ドラムフィルターは、回転する円筒状のフィルターを利用し、クーラント液からスラッジを分離・除去する装置です。ドラムの外周にはフィルターが設置されており、クーラント液がフィルターを通過する際にスラッジを捕集します。
ろ過されたクーラント液は内部から排出され、スラッジはドラムの回転によって分離・排出される仕組みです。
ドラムフィルターは連続運転が可能で、効率良くスラッジを除去できます。フィルターの目詰まりも発生しにくく、安定した処理能力の維持も可能です。
フィルターの目の細かさを調整すると、さまざまな種類のスラッジや加工環境に対応できる柔軟性も持ち合わせています。
クーラントろ過装置の選び方

クーラントろ過装置は、加工現場の環境、スラッジの性質やサイズ、必要なろ過精度などを考慮し、選ぶことが必要です。これらに合ったクーラント濾過装置を導入することで、クーラント液の品質を維持し、工具寿命の延長や加工精度の向上につながります。
以下ではクーラントろ過装置の選び方を解説します。
スラッジの性質やサイズ
クーラントろ過装置を選ぶ際は、スラッジの性質やサイズを把握しましょう。スラッジには鉄粉のように比重が重く、沈殿しやすいものや、アルミや樹脂のように軽く浮遊しやすいものなどさまざまなタイプがあります。
比重の重いスラッジには遠心分離機やマグネットセパレーターが適しており、比重の軽いスラッジにはカートリッジフィルターやサイクロンフィルターが有効です。
ろ過精度と処理能力
高精度な加工を行う場合は、微細な粒子まで確実に除去できるフィルターを選びましょう。細かい粒子や微細なスラッジをしっかり除去できる装置を導入することで、加工中のクーラント液の汚れを最小限に抑えられます。
対して、大量のクーラント液を処理する場合は、ろ過速度や連続運転のしやすさが重要です。場合によっては、ろ過装置の併用も検討する必要があります。
ろ過装置を導入する際は、ろ過装置の能力と処理量のバランスを考慮し、選定しましょう。
メンテナンス性とコスト

クーラントろ過装置を選ぶ際は、清掃やメンテナンスのしやすさも重要ポイントです。クーラントろ過装置でフィルターが必要なものは、交換頻度をチェックしましょう。頻繁に交換が必要な場合は、ランニングコストや手間がかかります。
作業負担を軽減する設計の装置を選ぶと、手間が少なく、長期間安定して利用できます。作業負担が少ない装置を希望する場合は、メンテナンスの頻度や方法、部品の交換などを考慮した選定が必要です。
導入する際は、初期費用だけでなく、ランニングコストも含めた総合的なコストパフォーマンスを重視し、導入を検討しましょう。
クーラントろ過装置のおすすめメーカー
クーラントろ過装置を購入したいが、どこで購入すればいいのか悩んでいる方もいるでしょう。
ここでは、クーラントろ過装置のおすすめメーカーとして下記の2社を紹介します。
クーラントろ過装置を購入するメーカー選びの参考にしてください。
濾過精工株式会社

| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | 濾過精工株式会社 |
| 住所 | 東京都中央区日本橋蛎殻町1-10-1 |
| 電話番号 | 03-6264-8575 |
| 公式サイト | https://www.rokaseiko.com/ |
濾過精工株式会社は、クーラントのなかでも精密機械用クーラントに特化した、高性能ろ過システムの開発と普及に取り組んでいる会社です。
近年は、精密ろ過装置だけでなく、経験により積み上げたノウハウを活かし、クーラントタンクの製造を含めたクーラントシステム全体を提案しています。
濾過精工株式会社が提供する『精密クーラントろ過システム』は、スラッジをフィルターエレメントで捕集・除去し、クーラントの初期状態を可能な限り保持する循環式ろ過装置です。
独自の精密で円滑なろ過は特許を取得しています。そのため、加工に極めて高度な正確さを要求される分野でも、クーラントの清浄・長寿化に貢献しているのが特徴です。
また、逆洗浄機能も備わっているため、安定したろ過だけでなく、フィルター交換頻度も少ないです。
濾過精工株式会社の提案する製品は、多岐にわたる分野での需要が見込めます。
以下の記事では濾過精工の会社の特徴や商品などを詳しく解説していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。
イースタン技研株式会社

| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 会社名 | イースタン技研株式会社 |
| 住所 | 神奈川県大和市福田6-9-21 |
| 電話番号 | 046-268-3131 |
| 公式サイト | https://www.eastern-tech.co.jp/ |
イースタン技研は1970年の創立以来、ユーザーの立場に立ち、より良い製品・サービスを提案してきた会社です。
設計開発から機械製作・修理メンテナンスに至るまで各部門と連携し、一貫した製造体制を確立することで、高機能かつコストパフォーマンスの高いマシンを提供しています。
イースタン技研のクーラントろ過装置は、ワイヤーカット放電加工機に使用される高性能ろ過フィルターが使用可能です。
そのため、マグネットセパレータでも取り除けない砥石カスや非鉄金属のスラッジも、根こそぎ除去できます。
また、コンパクト設計で場所を取らないため、小規模な工場でも活用できるでしょう。
イースタン技研のクーラントろ過装置を使用することで、あらゆるスラッジを確実に除去し、ワークの仕上がりを向上させます。
以下の記事ではイースタン技研の会社の特徴や商品などを詳しく解説していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。
まとめ

今回は、切削加工や研削加工時に発生するスラッジについて解説しました。
スラッジとは、切削加工や研削加工の際に工作機械から発生する微細な切粉のことです。
工作機械の稼働している間はスラッジが発生し続けるため、速やかに回収しないとクーラント液中にどんどん増えていき、下記のような問題を引き起こします。
- 切削・研削工具の短命化
- クーラント液の腐敗
- 加工不良
上記のような問題を起こさないためにも、スラッジを効率よく除去する必要があります。
スラッジの除去には、クーラントろ過装置がおすすめです。
今回解説した内容を参考に、クーラントろ過装置の導入を検討してください。


