ろ過装置の仕組みの中で、異物や屑を濾し取る役割を果たす『フィルター』。ろ過方法などによってさまざまな種類のフィルターがあり、高精度なろ過に欠かせません。
ろ材でもあるフィルターを選ぶ際は、フィルターの種類や選び方の手順を理解し、採用しているろ過方法やろ過装置、ろ過する物質などに合わせて選ぶのがおすすめです。ろ過装置のろ過能力が低下していると感じる場合は、フィルターを見直す必要があるかもしれません。
そこで今回は、ろ過装置のフィルターが果たす役割や種類、選び方、費用相場を解説します。ろ過装置のフィルターを最適にしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、以下の記事ではクーラント濾過装置導入でおすすめのメーカーを紹介していますので、気になる方はぜひ参考にしてみて下さい。
ろ過装置におけるフィルターの役割
ろ過装置の中で、フィルターは異物や屑を除去する役割を果たします。
ろ過したい原水をろ過装置に入れると、フィルターに液体が流れ、異物や屑がスラッジとなって分離します。ろ過された水(濾過水)は再利用可能で、スラッジを含む排水は別の配管から排出されるというのが、ろ過装置の基本的な仕組みです。
フィルターは、液体に含まれる不純物を取り除くために欠かせない要素です。微細な粒子やスラッジを除去することで、製品品質の維持と効率的なろ過作業に役立ちます。
そのため、フィルターはろ過する液体に含まれる不純物の種類や粒子のサイズ、求めるろ過精度に合わせて、最適なろ材を選択する必要があります。このように、フィルターが果たす役割は重要であることを理解しましょう。
ろ過装置のフィルターの種類
ここでは、ろ過装置のフィルターの種類を5つ紹介します。
それぞれのフィルターについて解説します。
繊維フィルター
繊維フィルターは、高いろ過精度を誇るのが特徴です。微細な粒子をキャッチする性能に優れ、液体から固体を分離する際に用いられます。
繊維素材を密集させた構造で、水処理だけでなく、化学工業や食品加工の業界でも使われています。クリアな液体へのろ過を可能にし、異物や屑が含まれない液体を送水することが可能です。
また、繊維フィルターは再利用も可能であるため、環境にやさしい素材でもあります。脱炭素が推進される現代において、繊維フィルターはろ過装置におすすめのフィルターです。
メンブレンフィルター
膜を使って作られるメンブレンフィルターは、極細の粒子を通さないのが特徴のフィルターです。
微細な粒子や細菌を効果的に除去し、水質の純度を高めることが可能です。水処理や飲料水の製造、医薬品業界など幅広い分野で活用されています。
高精度なろ過性能により、安全かつ清潔な水の供給を実現します。微細なスラッジや粒子を除去したい方は、ろ過装置にメンブレンフィルターがおすすめです。
活性炭フィルター
活性炭フィルターは、水や空気の浄化に広く使用されるフィルターです。
活性炭の多孔構造を利用したフィルターで、カビやタバコ、排気の臭いを除去する効果があります。また、液体の殺菌剤や塩素なども吸着し除去することが可能です。微細な異物や屑を取り除くのにも役立ちます。
炭は加工しやすいため、ろ過装置以外にも空調設備などに合わせて使われることもあります。液体に含まれる有害な物質や臭いを除去する際に効果的です。
セラミックフィルター
セラミックフィルターは、セラミック製の素材を用いて作られています。
セラミックフィルターの特徴は、耐熱性が高く急激な温度変化にも対応できる点です。そのため寿命が長く、目詰まりも起こりにくいため、長期にわたって使えます。
用途として、異物や屑の分離や原料の濃縮、産業用水処理などに利用できます。廃液のろ過にも適していて、効率的かつ高精度なろ過が期待できるフィルターです。
金属フィルター
金属フィルターは、セラミックフィルターと同様に高温に強い性質を持ちます。
ステンレス鋼やアルミニウムを使用した構造による耐久性が備えられ、高温や高圧の環境下で、固体粒子やスラッジをろ過することが可能です。また、定期的な掃除やメンテナンスにより、再利用できます。
金属粒子の間にある微細な隙間が、細かい粒子やスラッジをキャッチし、高精度なろ過を実現します。目詰まりも発生しにくいため、長期間ろ過能力を落とさないまま使用できるフィルターです。
ろ過装置のフィルターの選び方
自社に最適なろ過装置のフィルターを選ぶには、3つのポイントを押さえる必要があります。
それぞれの選び方について、詳しく解説します。
ろ過する対象の特性を理解する
最適なろ過装置のフィルターを選ぶには、ろ過対象となる液体の特性を理解しなければいけません。
生産過程において排出された水といっても、洗浄水・冷却水・排水といった種類があります。同様に海水や地下水など、それぞれに含まれる異物や屑が異なるため、最適なフィルターも異なります。こうした違いを理解して、各液体に最適な特性を持つフィルターを選ぶことが重要です。
ろ過する液体に含まれる不純物やそのサイズなどを調査し、それらの除去に最適なフィルターを選びましょう。
どの程度のろ過精度が必要か把握する
ろ過装置のフィルターを選ぶ際は、求めるろ過精度を考慮してフィルターを選定しましょう。
ろ過した液体を何に使用するか、何を目的としてろ過装置を使用するかによって、必要となるろ過精度は異なります。再利用するにしても、高精度な濾過水が必要でなければ、ろ過精度が多少低くても問題ないということになります。
ろ過した液体を何に使うかを明確にした上で、必要とする精度でろ過できるフィルターを選ぶのがおすすめです。
テスト段階でのろ過精度を判断する
フィルターを自社のろ過装置に採用するかどうかは、テスト段階でのろ過精度に注目しましょう。
候補となるフィルターを絞ったら、試運転させる必要があります。テスト段階のろ過で、スラッジや粒子を高精度に除去できれば、最適なフィルターとして高精度なろ過が期待できます。一方で、テストで十分な成果がなければ、自社のろ過対象には適していないことが分かるでしょう。
フィルターを選ぶ際は、必ずテストを実施してください。実際にろ過精度を判断することで、最適なフィルターかどうかを見極められます。
用途別フィルターの選び方
用途別フィルターの選び方を3つ解説します。
各産業分野で求められるフィルター性能は大きく異なります。用途に応じた適切な選定が、効率的なろ過処理の実現につながります。
食品・飲料業界でのフィルター活用
食品・飲料業界では、製品の品質と安全性を確保するため、厳格な衛生管理基準に適合したフィルターが求められます。材質には食品衛生法に準拠した素材を使用し、洗浄や殺菌が容易な構造設計が重要となります。
また、製品の風味や品質に影響を与えない精密なろ過性能と、生産効率を維持するための安定した処理能力が必要です。さらに、定期的な衛生検査や品質管理にも対応できる信頼性の高いシステムが求められています。
医療・製薬分野で求められるフィルター性能
医療・製薬分野では、GMP基準などの厳格な品質管理基準への適合が必須となります。特に、無菌製剤の製造工程では、高い除菌性能と信頼性が要求されます。
フィルターには、バリデーション対応が可能な設計と、完全性試験などの品質保証体制が求められます。
また、製品の特性や製造工程に応じた最適なフィルターの選定が重要で、微生物や異物の除去性能、化学的適合性などを総合的に評価する必要があります。
工業用水処理に適したフィルターの特徴
工業用水処理では、処理対象水の性状や用途に応じた適切なフィルター選定が重要です。
冷却水系統では、スケール防止や腐食対策を考慮したフィルター選定が必要となり、生産設備用では、工程に応じた水質基準を満たすろ過性能が求められます。
また、ランニングコストの低減のため、逆洗機能や長寿命設計など、メンテナンス性を考慮した特徴も重要な選定基準となります。さらに、環境負荷の低減にも配慮した設計が求められています。
ろ過装置メーカー選び
ろ過装置メーカーの選定において重要なポイント
ろ過装置メーカーを選ぶ際は、自社のニーズに合った専門分野を持つメーカーの選定から始まり、技術力や実績、カスタマイズ対応力まで、総合的な評価が必要となります。
適切なメーカー選定により、効率的なろ過システムの導入が可能となります。
ろ過装置の種類と専門性
ろ過装置は用途によって求められる性能や技術が大きく異なります。
水処理分野では浄水や排水処理、工業用水の処理など、空気清浄分野ではクリーンルームや工場排気の浄化、液体ろ過分野では切削油やめっき液の処理など、それぞれ専門的な知識と技術が必要とされます。
各分野に特化したメーカーと総合的に対応可能なメーカーの特徴を見極め、自社のニーズに最適な選択をすることが重要です。導入後の運用まで見据えた専門性の評価が、成功への鍵となります。
技術力と実績
メーカーの技術力は、特許取得数や製品性能データ、業界での導入実績などから評価することができます。特に、自動車産業や半導体産業など、高度な品質管理が要求される分野での実績は、技術力の高さを示す重要な指標となります。
また、研究開発体制の充実度や、新技術への投資状況なども、将来的な技術革新の可能性を判断する材料となります。さらに、顧客からの評価や業界での評判も、メーカーの信頼性を測る重要な要素です。
カスタマイズ対応力
生産現場の課題は千差万別であり、既製品だけでは最適なソリューションを提供できない場合も少なくありません。そのため、自社の要望に応じて柔軟にカスタマイズできる設計開発力と製造技術を持つメーカーの選定が重要です。
優れたメーカーは、豊富な経験とノウハウを基に、課題解決のための的確な提案を行い、設計から製造、導入後のサポートまで一貫した体制でサービスを提供します。こうした対応力は、長期的な信頼関係の構築にも繋がります。
フィルターの性能を維持するポイント
フィルター性能の維持には、適切な運転管理と定期的なメンテナンスが不可欠です。運転条件の最適化から日常点検まで、総合的な管理体制の構築が重要となります。
以上の3つについて解説します。
ろ過装置の運転条件の最適化
フィルターの性能を最大限に引き出すためには、処理対象物の特性に応じた運転条件の最適化が不可欠です。流量や圧力、温度などの運転パラメータは、ろ過効率に大きな影響を与えます。
また、季節変動や生産量の変化に応じて、これらのパラメータを適切に調整することで、安定したろ過性能を維持することができます。定期的なデータ分析により、最適な運転条件を見出し、継続的な改善を図ることが重要です。
さらに、IoTセンサーやデータロガーを活用した自動制御システムの導入により、リアルタイムでの運転条件の最適化が可能となり、より効率的な運用とエネルギー消費の削減を実現することができます。
フィルター目詰まりの原因と対策
フィルターの目詰まりは、ろ過効率の低下や運転コストの上昇を招く主な要因となります。目詰まりの原因には、処理対象物の性状変化、異物の混入、バクテリアの繁殖などが考えられます。
これらに対しては、適切な前処理システムの導入や定期的な逆洗浄、フィルター材質の選定見直しなどの対策が有効です。
また、目詰まりの予兆を早期に発見するための監視体制を整えることで、深刻な問題を未然に防ぐことができます。
定期的な性能評価テストの実施と、差圧データの傾向分析により、フィルターの寿命予測や最適な交換時期の判断が可能となり、計画的なメンテナンス体制の構築につながります。
適切な圧力・流量管理の方法
フィルターシステムの安定運転には、圧力と流量の適切な管理が不可欠です。差圧計や流量計を活用した常時モニタリングにより、システムの状態を把握し、異常の早期発見に努めます。
また、運転データの記録と分析を通じて、最適な管理値を設定し、定期的な見直しを行うことが重要です。
圧力や流量が管理値を超えた場合は、速やかに原因を特定し、適切な対策を講じることで、システムの長期的な安定運転を実現できます。
フィルターろ過装置のおすすめメーカー2選
最適なフィルターを活かすには、高品質のろ過装置を揃える必要があります。ろ過装置のおすすめメーカーとして挙げたいのが、以下の2社です。
それぞれの会社について詳しく解説します。
濾過精工株式会社

項目 | 詳細 |
会社名 | 濾過精工株式会社 |
住所 | 東京都中央区日本橋蛎殻町1-10-1 |
電話番号 | 03-6264-8575 |
公式サイト | https://www.rokaseiko.com/ |
濾過精工株式会社は、精密機械用クーラントに特化した会社です。精密ろ過装置の開発に加え、クーラントタンクの製造を含む総合的なクーラントシステムソリューションを提供しています。
濾過精工株式会社が提案する『精密クーラントろ過システム』は、スラッジをフィルターエレメントで効率的に除去し、クーラントを清潔な初期状態で保つ循環式のろ過装置です。特許でもある精密ろ過技術を駆使して、幅広い分野でクーラントの品質維持と寿命延長に大きく貢献しています。
精密クーラントろ過システムは逆洗浄機能も搭載していて、安定したろ過性能を維持しながら、フィルターの交換頻度を低減することが可能です。多方面にわたる高品質な製品を提供してくれるでしょう。
以下の記事では濾過精工の会社の特徴や商品などを詳しく解説していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。
精密クーラントろ過システム
独自の精密クーラントろ過システムは、2016年に特許を取得した自動逆洗浄機能により、フィルターの目詰まりを効果的に防止します。
さらに、広い有効ろ過面積を確保することで、安定した濾過性能を維持しながら、フィルター交換の頻度を最小限に抑えることに成功しました。
また、精密濾過技術とファインバブルを組み合わせた革新的なシステムにより、従来の工作機械分野にとどまらず、半導体製造や食品加工、医療機器製造など、多様な産業分野での活用が進んでいます。
高い信頼性と汎用性を兼ね備えたシステムとして、産業界から高い評価を得ています。
イースタン技研株式会社

項目 | 詳細 |
会社名 | イースタン技研株式会社 |
住所 | 神奈川県大和市福田6-9-21 |
電話番号 | 046-268-3131 |
公式サイト | https://www.eastern-tech.co.jp/ |
イースタン技研株式会社は、1970年創業以来、顧客の要望に応えた製品とサービスを提供している企業です。設計開発・機械製造・メンテナンスに対応し、高品質なろ過装置を提供しています。
イースタン技研のクーラントろ過装置では、ワイヤーカット放電加工機用の高性能フィルターが使えます。マグネットセパレータで除去できない砥石粉や非鉄金属のスラッジも、確実に取り除くことが可能です。また、コンパクトな設計により、スペースの限られた小規模工場でも導入できます。
イースタン技研のクーラントろ過装置を採用することで、微細なスラッジにも対応し、高精度なろ過を実現できるでしょう。
以下の記事ではイースタン技研の会社の特徴や商品などを詳しく解説していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。
ミクローナ ESF-400B

ミクローナ ESF-400Bは、研削盤のスラッジや砥粒など、加工時のスクラッチ傷の原因となる不純物を確実に除去する高性能フィルターシステムです。これにより、加工液の交換頻度を大幅に低減し、メンテナンスコストの削減に貢献します。
幅400mm×奥行400mm×高さ1015mmのコンパクトな設計で、キャスター付きの本体は必要な場所への移動が容易。さらに、加工液のエアレーション機能によりバクテリアの発生を抑制し、不快な臭気を防止する
まとめ
今回は、ろ過装置のフィルターの役割や種類、選び方について解説しました。
液体の異物や屑を除去するために、フィルターは欠かせない要素です。フィルターの性能を最大に活かすためにも、ろ過対象の液体を調査し、最適なフィルターを選びましょう。
また、高品質なクーラントろ過装置を採用することで、フィルターの特性を最大限活かせます。今回紹介した濾過精工株式会社やイースタン技研株式会社を参考に、最適なクーラントろ過装置も検討してみてください。
この記事が、皆さんのフィルター選びに役立てば幸いです。